猫の歯肉炎、全抜歯で50万円かかった話

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以前、一緒に住んでいた猫の話です。

猫の歯肉炎、実はよくある病気

歯周病(歯肉炎を含む)は、3歳以上の猫の約8割にみられるとされるほど、発生頻度の高い病気です(出典:うちの子おうちの医療事典/アイペット損保)。うちのケースのように重症化・長期化してしまう歯肉口内炎はその中でも一部ですが、歯肉炎そのものはむしろ「かかっていない猫の方が少ない」というくらい身近な病気だと言えます。

症状に気づいたきっかけ

最初の異変は、ご飯を食べるときに食べにくそうにしていたことでした。そのうち、ご飯を食べる回数自体が減っていきました。

顔を横に向けながら食べる、口の中に違和感があるのか前足で口のあたりを触ろうとする、といったしぐさが特徴的でした。

最初にかかりつけ医で受けた治療

かかりつけの動物病院に診てもらったところ、歯肉炎と診断されました。このときは、悪くなっていた歯を1本、手術で抜いてもらいました。費用は約10万円ほどでした。あわせてサプリメントも長く使い続けましたが、それほど効果は感じられませんでした。サプリメントで改善が見られる猫もいれば、まったく改善しない猫もいる、とはあらかじめ説明を受けていました。

手術でよくなった期間は1年ほどでした。やがて、またご飯を食べなくなっていきました。

再受診すると、ぐらついていて今にも抜けそうな歯があると言われました。「このまま手で抜いてもいいですか?」と聞かれ、特に深く考えず「いいですよ」と答えました。

この処置が、後々まで影響することになります。

悪戦苦闘の日々

それから数年間、歯肉炎の具合と相談しながらの生活が続きました。ドライフードは難しく、ウェットフードに切り替えたり、スープを飲ませたりと、試行錯誤の日々でした。サプリメントもずっと続けていました。

かかりつけ医に診てもらっても、目に見えて改善しない時期が続きました。悪く言いたいわけではないのですが、それならばと、日本では未承認の海外製の猫用口内炎の薬を試したり、サプリメントを何度も変えたりと、自分なりにできることを模索していた時期もあります。今振り返ると、未承認の薬を自己判断で使うのはリスクもあり、あまりおすすめできる方法ではありません。当時は、それくらい藁にもすがる思いだったということです。

不思議だったのは、ご飯を食べるとき、痛がっている日もあれば、まったく平然としている日もあったことです。症状に波があると、「今日は大丈夫そうだから」とつい様子を見てしまいがちになります。これも、歯肉炎に気づかない理由の一つかもしれません。

ちょっとぽっちゃりだった体型も、すっかり痩せてしまい、食も細くなっていきました。これは覚悟しないといけないかもしれない、と悩んでいた時期でもありました。

転機になった、ある猫の話

転機になったのは、仕事の上司の友人(オーストラリア人)が飼っている猫の話を聞いたことでした。その猫も歯肉炎にかかっていましたが、全抜歯の手術を受けて元気になり、20歳になっても生きているというのです。

専門医を探して

かかりつけの先生には感謝していましたが、歯科を専門にしていて、歯肉炎で全抜歯手術を行った症例をサイトに載せている動物病院を探し当てました。ただし他県で、通院のたびに片道2時間、往復4時間かかる距離でした。

診てもらったところ、開口一番、全抜歯を勧められました。まずは特にひどい状態だった半分を抜いて様子を見る、それでご飯が食べられるようになれば、いったんそれでよい、という方針でした。猫の体力とも相談しながらの手術でした。

全抜歯手術、そして50万円

残念なことに、半分だけ抜いた段階では、まだ十分ではありませんでした。そのため、抜いた部分の傷がよくなったら、残りの半分も抜くことになりました。

手術 費用の目安
1回目(歯の半分) 約25万円
2回目(残りの半分) 約25万円
合計 約50万円

歯を全部抜いてしまうと舌が出てしまうので、それを防ぐため、下の犬歯2本を残すのだそうです。

かかりつけ医の治療で分かったこと

専門医に診てもらって分かったのは、以前かかりつけ医が手で抜いた箇所の処置がよくなく、それが歯肉炎を余計に悪化させる原因になっていた、ということでした。悪気があったわけではないと思いますが、抜歯という処置ひとつでも、専門性によって結果が大きく変わるのだと実感しました。

予防のためにできること

歯磨きが理想とはよく言われますが、専門医いわく、猫に毎日歯ブラシをするのは現実的に難しいとのことでした。無理に歯磨きにこだわるより、定期的に歯石を取る方が現実的だとアドバイスされました。

そのほか、獣医師監修の情報からも、以下のような予防策が挙げられています(出典:アニコム損保「猫との暮らし大百科」)。

  • ドライフードを中心にする(ウェットフードよりも歯石がつきにくいといわれています)
  • 口内炎の原因になりやすいウイルス感染症(猫カリシウイルスなど)に対するワクチン接種
  • 定期的な歯科検診での早期発見

歯石除去は全身麻酔下で行うことが多く、費用は5〜6万円程度、レントゲン検査などを含めると10万円前後になることもあります。決して安くはありませんが、放置して悪化させてしまうよりは、結果的に負担が少なく済むのではないかと感じています。

今の様子

歯は下の犬歯2本を残してすべてなくなりましたが、体調はすっかり回復し、ドライフードも元気に食べられるようになりました。

振り返って思うこと

歯がほとんどなくても(残っているのは下の犬歯2本だけです)ご飯が食べられる、というのは手術を受けるまで想像していませんでした。長年悩んでいたことを考えると、もっと早く専門医に相談していればよかったという思いもあります。

一方で、「かかりつけ医で様子を見る」段階があったからこそ、専門医の判断のありがたみも実感できました。今悩んでいる方には、セカンドオピニオンとして専門医を探してみることをおすすめしたいです。

今回のことであらためて感じたのは、やはり猫はご飯を食べているうちは元気、という一つのバロメーターがあるということです。食欲の変化は、猫の体調を知るための一番分かりやすいサインなのだと思います。


※本記事は個人の飼育・通院記録であり、獣医療行為や診断を代替するものではありません。ペットの体調に異変を感じた場合は、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。